女性の薄毛、抜け毛などのトラブルを改善するには、
健康的でイキイキとした髪が育ちやすい頭皮環境に整えることが
ヘアケアの基本ですが、それと同時に、健康的な生活習慣をベースに、
栄養バランスのよい食事を規則正しく摂るという食生活が大切になります。
頭皮には細い血管が網目のように張りめぐらされており、
食事から摂り入れられた栄養素は、
その血流に乗って毛根の奥にある毛母細胞へ届けられます。
その時、栄養素がしっかり毛母細胞まで運ばれるように
頭皮の血行を促すのがビタミンE、
毛母細胞の細胞分裂を促すのが亜鉛などのミネラル類、
紫外線などのダメージから頭皮を守るのがビタミンCの栄養素です。
こうした働きを考えると、ビタミン類やミネラルばかりを摂りたくなりますが、
五大栄養素といわれているタンパク質、炭水化物(糖質)、脂質、ビタミン類、
ミネラル類の栄養素をバランスよく摂ることが大前提となります。
ですが、その中でも、タンパク質は髪の毛の材料となるので、
十分な量の摂取が必要で、できれば良質なタンパク質を選んで
摂取することが髪の成長に有効となります。
髪の毛というのは、頭皮から外に出ている毛幹といわれる部分を指し、
この毛幹は、毛母細胞が細胞分裂を繰り返して作られ、
すでに角化して死んだ細胞ですが、一番外側はキューティクル(毛小皮)、
その内側がコルテックス(毛皮質)、
そして、中心になるのがメデュラ(毛髄)という3層構造になり、
その主な成分はケラチンというタンパク質で構成されています。
そんな髪の毛1本は、頭皮の外へあらわれてから3~6年で、その役目を終えて、
自然と抜け落ちていきます。
すると、約4ヵ月ほどで、また同じ毛根から新しい髪の毛1本が生えてきます。
その時、毛根の奥にある毛母細胞が、頭皮の毛細血管から
十分な量のタンパク質を摂らなければ、髪は生まれてきません。
なので、新しい髪が生まれ、さらに、元気よくイキイキと育てるには、
その材料となる良質なタンパク質を十分に摂る必要があるというわけです。
では、良質なタンパク質とは、どのようなタンパク質なのでしょうか?
食べ物から取り入れられたタンパク質は、
胃や腸で、一旦、アミノ酸に分解されて全身の各部位に送られ、
そこで機能するタンパク質として再合成されます。
髪を作るために毛母細胞に送られるタンパク質は、
20種類のアミノ酸で構成されており、その内容は、
イソロシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、
トリプトファン、バリン、ヒスチジンの「必須アミノ酸」といわれる9種類と、
チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、
グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニンの「非必須アミノ酸」
といわれる11種類になります。
この中で、「必須アミノ酸」は、体内で合成することができず、
食べ物から摂取しなければならないので「必須」という言葉がついていますが、
実は、この「必須アミノ酸」が、バランスよく豊富に含まれているものが、
良質のタンパク質になります。
髪の主成分であるケラチンは「必須アミノ酸」を
バランスよく豊富に含んだタンパク質というわけです。
しかし、食卓に並ぶ食材を見て、どれが良質のタンパク質か?
なんて、ほとんどの人が分からないでしょう。
そこで、便利なのが、アミノ酸のバランスと含有量を
数値化して分かりやすくあらわしたものが、「アミノ酸スコア」です。
アミノ酸スコアが、100に近いほど「必須アミノ酸」がバランスが良く含まれて、
良質なタンパク質となります。
スコア100に該当するのは、動物性タンパク質の豚肉、牛肉、鶏肉、魚類、チーズ、
卵などで、植物性タンパク質の大豆、豆乳、納豆、枝豆なども
スコア100に近い数値になります。
逆に、スコアの低いのは、野菜や果物などです。
しかし、動物性タンパク質は、全般的に脂肪分を多く含むのでカロリーが高くなり、
摂り過ぎに注意しなければなりません。
今は、コンビニやドラッグストアーなどで「アミノ酸スコア100」と謳った
低カロリーなプロテイン(タンパク質)のサプリメントが数多く市販されているので、
それらを利用すると便利です。