「食物繊維は体にいいから、できるだけたくさん摂ろう・・・」。
健康やダイエット、美容を意識している人なら、
一度はこのように考えたことがあるのではないでしょうか。
食物繊維は、便通を整えたり、食後の血糖値の上昇を緩やかにしたり、
腸内細菌のエサになったりする大切な栄養素です。
しかし、ここで注意したいのが、
「多ければ多いほど健康になるわけではない」ということです。
特に40歳代以降は、健康や美容のために食物繊維を意識する一方で、
摂り過ぎによって他の栄養素の摂取量が減ってしまわないよう
注意することが大切です。

食物繊維にはどんな働きがある?
食物繊維は大きく分けると、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、
水に溶けにくい「不溶性食物繊維」があります。
水溶性食物繊維は、食後の糖の吸収を緩やかにしたり、
腸内細菌によって発酵されて短鎖脂肪酸が作られたりするなど、
健康維持に役立つ働きがあります。
一方、不溶性食物繊維は便のかさを増やし、腸の動きを促す働きがあります。
つまり、適量を摂ることができれば、
食物繊維は腸内環境や生活習慣病予防を考えるうえで重要な栄養素なのです。
「摂り過ぎ」が問題になることも
では、なぜ食物繊維の摂り過ぎに注意する必要があるのでしょうか。
一つは、お腹の張りや腹痛、便通の乱れなどにつながる場合があることです。
特に不溶性食物繊維を急に大量に摂ると、消化管に負担を感じる人もいます。
また、食物繊維を大量に摂ることを優先するあまり、
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などのたんぱく質源や、
脂質、ビタミン、ミネラルなどの摂取量が不足してしまうことがあります。
これは美容を意識する40代女性にとっても見逃せないポイントです。
栄養不足は「若々しさ」にも関係する
肌、髪、筋肉、血管など、私たちの体を構成するためには、
たんぱく質やビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素が必要です。
例えば、たんぱく質は筋肉だけでなく、皮膚や髪などの材料にもなります。
そのため、「食物繊維をたくさん摂らなければ」と考えて
野菜や海藻、きのこ、全粒穀物などばかりを増やし、主菜を減らしてしまうと、
結果的に必要な栄養素が不足する可能性があります。
栄養不足そのものを「老化の原因」と単純に言うことはできませんが、
食物繊維の摂り過ぎによって食事全体のバランスが崩れることは、
若々しい体を維持するうえで避けたいポイントです。
食物繊維がミネラルの吸収に影響する場合も
食物繊維を含む食品には、フィチン酸やシュウ酸など、
ミネラルの吸収に影響する成分が含まれることがあります。
特に極端に特定の食品ばかりを食べるような食生活では、
鉄や亜鉛、カルシウムなどの栄養素を十分に利用できなくなる可能性があります。
ただし、これは「食物繊維を摂るとミネラルが吸収できなくなる」
という意味ではありません。
通常のバランスのよい食事では、
食物繊維を含む食品にはさまざまな栄養素も含まれており、
食物繊維には健康上のメリットもあります。
重要なのは、一つの栄養素だけを極端に増やさないことです。
「腸活」もやり過ぎない
最近は「腸活」という言葉が広く知られるようになり、
野菜、きのこ、海藻、豆類、玄米などを積極的に食べる人も増えています。
もちろん、これらは上手に取り入れれば健康的な食品です。
しかし、「便秘だから食物繊維をもっと増やそう」
「ダイエット中だから主食を減らして野菜を大量に食べよう」というように、
原因を考えずに食物繊維だけを増やすのはおすすめできません。
便秘の場合も、水分不足、運動不足、食事量不足、生活リズム、腸の状態など、
さまざまな原因が考えられます。
食物繊維を増やしているのにお腹が張る、便通が改善しないという場合には、
さらに増量するのではなく、食事全体を見直すことが大切です。
若々しさのためには「適量+バランス」
健康や美容を考えるときに大切なのは、
「○○をたくさん食べればいい」という考え方ではありません。
食物繊維も同じです。
野菜、果物、豆類、きのこ、海藻、穀類などから
さまざまな種類の食物繊維を取り入れながら、
肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質食品も組み合わせましょう。
さらに、良質な脂質、ビタミン、ミネラルなども不足させないことが重要です。
食物繊維は「多ければ多いほどいい」のではなく、
自分の体調や食事量に合った量を摂ること。
これが、健康と若々しさを長く維持するためのポイントです。
特に40歳代以降は、ダイエットを意識するあまり食事量を減らしすぎたり、
特定の食品に偏ったりしないように注意しましょう。
食物繊維を味方につけるためにも、「増やすこと」だけではなく、
たんぱく質やビタミン、ミネラルなどを含めた食事全体のバランスを
意識することが大切なのです。

