人は30歳後半を過ぎてから40歳代に入るあたりから「老い」を感じはじめ、
さらに、年齢を重ねるとともに肌はシワやたるみが目立ち、
髪はハリやコシ、ボリュームがなくなり、白髪も混じり、体型も崩れてきます。
こうした「老い」とは逆に、50歳代に入っても、肌は潤い、髪はサラサラ、
体型はスレンダーといった容姿で街中を颯爽と歩き、
まったく「老い」の気配を感じさせない人もいらっしゃいます。
このような見た目年齢の差は、一体どこにあるのでしょうか?
確かに遺伝的なこともあるし、こまめなスキンケアとヘアケアで
美肌と美髪を維持しているなど、さまざまな理由が考えられると思います。
ですが、一つ大きな要因として“筋肉”の存在が挙げられます。
一般的に、人の筋肉は20歳代の男性で体重の約40~45%、
女性は約35~40%を占めています。
それが、これといった運動を何もしないで30歳を過ぎると徐々に減りはじめ、
70歳代に入る頃には、約三分の二まで減少するといわれています。
これは、体重60キログラムの男性が、20歳で約24キログラムあった筋肉が、
70歳代で約16キログラムまで減少してしまうという計算で、
特に太ももの筋肉は半分近くまで減少するといわれています。
すると、体型が崩れるどころか、骨まで劣化して体のバランスがとれなくなり、
腰と背中が曲がって、膝も曲がり、完全な老人体型になり、
しかも、一人では歩くことができないという状態に陥ってしまいます。
このように筋肉の衰えからの減少は、直ぐに「老い」につながり、
見た目年齢を決定することになります。
逆に、若い頃から筋力トレーニングなどで、筋肉をしっかり鍛えていれば
体型はもちろん、新陳代謝も活発に働き、
美容面にも有効となって「若さ」を保てるというわけです。
ということで、最近は街のあちこちにスポーツジムがオープンし、
男女とも多くの人が運動に励んでいます。
そんなスポーツジムを覗いてみると、マシンやダンベルを使って筋肉を鍛えていたり、
ランニングマシンやエアロバイクで汗を流している人がいらっしゃいます。
ほとんどの人は、健康やダイエット、美ボディつくりが目的だと思いますが、
実は、筋力トレーニングや有酸素運動は美肌維持にも大きな効果があります。
美肌維持には肌の新陳代謝であるターンオーバーが
正常に働いているということが重要ですが、この働きをサポートしてくれるのが、
筋肉を使うことで分泌される「成長ホルモン」です。
この「成長ホルモン」は、10~20歳代の若い頃はたっぷり分泌されますが、
加齢とともに徐々に減少していきます。
アメリカの有名なハリウッドスターが、1本、何十万円もする「成長ホルモン」を
注射で投与しているという話をよく聞きます。
ですが、筋力トレーニングで筋肉を鍛えるだけで、
お金もかからずに「成長ホルモン」を分泌させることができます。
また最近、筋肉から分泌される「マイオカイン」という物質が話題となっていますが、
この「マイオカイン」が、
シミのできやすさを左右していることが明らかになったそうです。
ある研究によると、
これといった紫外線対策していない50~60歳代のシミができにくい女性と、
紫外線対策を入念にしている20~30歳代のシミができやすい女性を
最新のテクノロジーで調べたところ、
筋肉がシミのできやすさに大きくかかわっていることが分かったそうです。
さらに、40~50歳代の女性100人を調査したところ、
筋肉の多い女性はシミが少なく、
筋肉から分泌される「マイオカイン」の一つである「マイオネクチン」という物質が、
シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制することが分かったそうです。
このように筋力トレーニングで筋肉を鍛えることで、
多くの美肌効果が期待できますが、
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動も美肌効果が期待できます。
有酸素運動で筋肉を鍛えることは難しいですが、
体脂肪燃焼と血行を良くする効果があります。
美ボデイつくりには余分な体脂肪燃焼が必要ですし、
血行が良くなれば、肌や髪に必要な栄養素と酸素がしっかり行き渡るようになり、
代謝がアップして美肌と美髪の効果につながります。
このように筋力トレーニングと有酸素運動の2種類の運動を行うことで、
美肌と美髪、美ボディをつくり「若さ」まで維持するという
たくさんの効果がありますが、だからといって
重いバーベルやダンベルを無理して挙げたり、
息がゼーゼーするような激しいランニングを
しなければならないというわけではありません。
また、わざわざ高い会費を払って、
スポーツジムに通わなければならないというわけでもありません。
バーベルやダンベルがなくても
自宅で無理なく簡単にできる自重トレーニングがありますし、
外へ出て、ゆっくり歩くのもいいですし、
毎日の仕事や家事、買い物などの中で、
積極的に歩いて、体を動かすという意識を持ちだけでも十分な有酸素運動となります。
まずは、無理のない運動からはじめて、
運動をするという習慣を身に着けることが大切です。